日本雷保護システム工業会

用語解説

あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行
や行 ら行 わ行 英字 数字 初心者のためのQ&A  

安全離隔距離

危険な火花放電を発生しない被保護物内の2導電性部分間の最小距離

網状接地極

被保護物下部に格子状の導線を埋設地線として設ける接地極

一時的過電圧

規定の時間tTだけ一時的過電圧UTを受けたときのSPDの挙動。

印加

印加(いんか)とは、電気回路に電源や別の回路から電圧や信号を与える事を意味し、「電圧を印加する」「信号を印加する」という様に使われる。またこの時、印加された電圧、電流はそれぞれ印加電圧、印加電流と呼ばれる。

電圧を印加した瞬間に流れる大電流を突入電流(インラッシュ電流)という。電動機や変圧器など、巻線機器ではこうした突入電流を考慮したうえで機器の設計および保護継電器の整定を行う。 電圧を印加する際には感電災害や機器の破損を防止するため、作業員を当該機器から退避させたこと、配線が正確になされていることを確認しなければならない。

インパルス電流(Iimp)

過渡的に短時間出現する電流をいう。顕著な振動波の重ならない単極性の電圧だけを考え、極性、波形、波高値の三つの因子で定められる。動作責務試験の手順に従って試験する電流ピーク値Ipeak及び電荷Q。これはクラスI試験を行うSPDの分類に使用する。

回転球体法

二つ以上の受雷部に同時に接するように、または一つ以上の受雷部と大地とに同時に接するように球体を回転させたときに、球体表面の包絡面から被保護物側を保護範囲とする方法で、球体の半径Rは保護レベルに応じてJIS A 4201:2003に定められている。 回転球体法は、受雷部の高さh と電雷撃距離 R が保護範囲を決める要因であるとするもので、現在の雷放電理論から見て最も妥当な方法であり、保護範囲を算定する基本となるものである。
より詳細はJIS A 4201:2003(解説)2.1.2(1)を参照されたい。

外部雷保護システム

外部雷保護システム(外部LPS)は直撃雷により被害を受ける被保護物(建築物等)および人身の保護を目的とする。

開閉サージ

電気設備内での開閉動作、事故の開始、停止時などで発生する過渡現象による過電圧。

角度法

角度法は、受雷部の先端から垂線に対する角度αをもって引いた線の内側を保護範囲とする方法である。 JIS A 4201:1992は、この角度法を原則とし、一般建築は60度、危険物は45度と一律に決められていた。しかし、JIS A 4201:2003では、保護レベルおよび受雷部の高さに応じ、適用できる範囲が限定される。
保護角法は、地上面から受雷部上端までの高さが、保護レベルⅠでは20m、保護レベルⅡでは30m、保護レベルⅢでは45m、保護レベルⅣでは60mを超える部分に適用することはできない。その部分には、回転球体法かメッシュ法を適用する必要がある。図に角度法による適用例を示す。 なお、この場合、屋上部分などに関しては、その部分を大地とみなし、屋上部分からの高さに応じた保護角を適用してもよい(図 h1およびα1参照)。

雷サージ

雷サージとは、雷による異常電圧および異常電流の総称である。

環状接地極

大地面または大地面下に建築物等を取り巻き閉ループを構成する接地極

基礎接地極

建築物等の鉄骨または鉄筋コンクリート基礎によって構成する接地極

公称放電電流(In)

SPDを流れる電流波形が8/20である電流の波高値。これはクラスⅡ試験のSPDの分類、並びにクラスⅠ試験及びクラスⅡ試験に対するSPDの前処理のときにも使用する。

構造体利用接地極

鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の地中構造体、その他金属製地下構造物を接地極として利用できる。特に建築物等の地下部分構造体の鉄筋または鉄骨を接地極とし、地上部分の鉄筋または鉄骨を引下げ導線に利用する方法が最も望ましい。 なお、鉄筋または鉄骨コンクリート造の基礎を接地極として利用する場合は、基礎の鉄筋または鉄骨と上部構造体の鉄筋または鉄骨とは一般に電気的接続が行われていないので、建築物等の建設時に相互の電気的接続を行う必要がある。

最大放電電流(Imax)

クラスⅡ試験の動作責務試験の試験シーケンスに従った大きさで、SPDに流れる8/20波形の電流波高値。ImaxはInより大きい。

最大連続使用電圧(Uc)

防護モードのSPDに連続して印加してもよい最大実効値または直流電圧。これは定格電圧に等しい。

サージ防護デバイス(SPD)

過渡的な過電圧を制限し、サージ電流を分流することを目的とするデバイス。このデバイスには、1個以上の非線形素子を内蔵している。

受雷部システム

外部雷保護システムのうち、雷撃を受けるための部分。

接地システム

外部雷保護システムのうち、雷電流を大地へ流し拡散させるための部分。

接地電位上昇(大地電位上昇)

接地システムと無限遠大地間の電位差が落雷により上昇すること。接地抵抗値や雷撃電流の大きさに比例し電位差は大きくなる。

多重雷

平均3回から4回の雷撃からなる雷放電。雷撃の典型的な間隔は、50msであり、数十回の雷撃の事例も報告されている。

直撃雷

建築物等への直接の落雷である。

電圧防護レベル(Up)

端子間の電圧を制限するとき、推奨値のリストから選択するSPDの性能を規定するパラメータ。この値は測定制限電圧の最大値より大きくなければならない。

電荷量(雷放電の電荷量)

放電の継続時間全域に対する雷電流の時間積分。電荷Qの単位はクーロン [C]

低圧配電システム

配電系統において、接地方式と保護導体の構成の行い方。大別して、TN系統、TT系統、IT系統の3方式があり、記号の第1文字は電力系統と大地の関係、第2文字は設備の露出導電性部分と大地の関係を示している。
より詳細はJIS C 60364-1:2010を参照されたい。

等電位ボンディング

内部雷保護システムのうち、雷電流によって離れた導電性部分間に発生する電位差を低減させるため、その部分間を直接導体によってまたはサージ保護装置によって行う接続。

内部雷保護システム

落雷電流の通過によって発生する外部LPSと他の建物内金属部との間に発生する電位差によって、その間に引起こされる危険な火花放電を防止する対策をいう。

引下げ導線システム

外部雷保護システムのうち、雷電流を受雷部システムから接地システムへ流すための部分。

保安器

雷などによる過渡的な過電圧・過電流から人体および機器を保護する装置であり、その用途から通信用では、加入者保安器、ケーブル保安器、CATV保安器、同軸保安器などがあり、電源用では電源用保安器などと呼ばれている。近年、保安器や避雷器と呼ばれていた雷防護のための製品をSPD に分類することが多い。

保護角法

受雷部の上端から、その上端を通る鉛直線に対して保護角を見込むりょう(稜)線の内側を保護範囲とする方法で、その保護角は保護レベルと受雷部の上端の高さに応じてJIS A 4201:2003に定められている。保護角は、受雷部の高さが電撃距離より小さいときに適切な保護角を選定することによって、回転球体法によるものと等価な保護範囲を得ることができる。
ただし、保護範囲を算定する基本は、回転球体法であり、受雷部の高さが雷撃距離より大きいときは受雷部の高さを増やしても保護範囲は広くならないので、この場合は保護角法の考え方は成立しない。
より詳細はJIS A 4201:2003(解説)2.1.2(2)を参照されたい。

メッシュ法

メッシュ導体で覆われた内側を保護範囲とする方法で、そのメッシュの幅は保護レベルに応じてJIS A 4201:2003に定められている。側壁面のメッシュ導体は受雷効果を主目的とするものであることから、メッシュの形状は網状を構成する必要はなく、平行導体を構成すれば保護効果は同等である。高層ビルでは保護レベルに応じたある一定の高さを超える側面部分は、保護角法が適用できず、回転球体法も実用的でない場合が多いため、実際にはメッシュ法が適用される。
より詳細はJIS A 4201:2003(解説)2.1.2(3)を参照されたい。

誘導雷

誘導雷は電源線や通信線の近傍の樹木や構造物に落雷した場合、雷撃電流による線路近傍の電磁界の急変により発生する過電圧である。

雷保護領域(LPZ)

雷の電磁気的環境がを定義したゾーン。建造物内部にある機器・設備を雷等によって発生するサージから保護することを目的として、保護対象物の耐力レベルに応じてエリアを分割し設定する。LPZ 0a、LPZ 0b、LPZ 1、LPZ 2の領域がある。

英字

A形接地極

A形接地極は、放射状接地極、垂直接地極または板状接地極から構成し、各引下げ導線に接続しなければならない。
接地極の数は、2以上としなければならない。

B形接地極

B形接地極は、環状接地極、基礎接地極または、網状接地極から構成し、各引下げ導線に接続しなければならない。